販促物の発注数の決め方と小ロットで試す進め方
販促物の最初の発注数は、正解を当てにいって決めるものではありません。まず小さくつくって世に出し、結果を振り返る。その一巡が、いちばん精度の高い調査になります。
数量が決まらないのは、判断に使える材料が手元にないからです。その材料は、机の上で議論しても集まりません。
最初の発注数は「まず100」で一巡させる
ある食品の新しいラベルを何枚刷るかで、打ち合わせが止まったことがあります。枚数を増やせば一枚あたりは安くなる。ただ、はけなければ全部が損失に変わる。絞れば傷は浅いものの、単価は上がり、途中で足りなくなる不安も残ります。
そこで持ち出されたのが、別の商品ですでに通った進め方でした。
「100でやって価値が分かって」
「それをやって振り返りしてっていう感じが一番理想だと思う」
まず100つくり、出して、確かめる。この一巡を済ませると、二回目の判断がまるで違ってきます。臆病な選び方に見えて、実際には最短で答えに届く道です。
決めきれないのは、意思が弱いからではありません。材料がないまま数字を出そうとしているからです。一巡させれば、売れ方も、渡したときの反応も、手元に残る量も分かります。
200枚で約2万円。調査費として見れば安い
このときの着地は200枚でした。一枚あたりおよそ100円、総額でおよそ2万円。納期は土日祝を挟まずに3営業日という条件です。
この金額で、店頭に並べたときの反応が手に入ります。調査にかける費用として見れば、安いほうだと考えています。
200枚では、当然ながらスケールメリットは出ません。それでも、向きを確かめないまま1,000枚を抱えるより、支払いは軽く済みます。
質感は単体で選ばず、隣に置かれるもので決める
この日は、ラベルの質感についても結論を出しています。
「袋が生成りのマットな感じ、ザラザラな感じなんで、ツヤツヤのラベルの方が清潔感はあるような気がするんですよね」
ラベル単体で比べるなら、マットのほうが上品だという議論も成り立ちます。しかし買う人が目にするのは、袋に貼り付いた状態のラベルだけです。
粗い手触りの袋の上に、光沢のあるラベルが乗る。その落差が清潔さをつくっています。仕様は単体で優劣を付けず、組み合わせたときの差で選ぶ。食品に限った話ではありません。
紙もインクも、サンプル単体で見比べると判断を誤ります。置かれる場所、貼られる素材、並ぶ他の商品まで含めて見る。その手間を惜しまないほうが、刷り直しは減ります。
発注数を決める前のチェックリスト
数字を出す前に、次を確認しておきます。
- 何を確かめるための一巡なのか、目的がはっきりしているか
- 振り返るタイミングを、発注前に決めているか
- 単価を下げたいという理由だけで、数を積んでいないか
- 納期が、振り返りの予定に間に合うか
- 余ったときに使いみちがあるか。なければ数を減らす
価格の天井は、原価ではなく誰と使いたいかで決まる
同じ日、イベント向けTシャツの価格も話題に上がりました。値付けは仕入れから積み上げるのが通例です。ところがこのときの上限を決めたのは、原価ではありませんでした。
「なるべく多くの人と一緒に着たいからね」
「一般の方にもね、できれば触れてほしいなーっていうの本音のところある」
本体はおよそ2,700円。色付きにすると1,000円ほど上乗せされ、合計は4,000円に迫ります。ここで出たのが「4000円いっちゃうとちょっとあれ」でした。もうけの多少ではなく、そこまで上がると袖を通す人が減るという懸念です。
最終的には3,500円から3,600円のあいだで決着し、枚数も最初の50枚に30枚を足して80枚まで伸びました。売上の最大化を狙う値付けと、着る人数の最大化を狙う値付け。どちらが正解という話ではなく、何を増やしたいのかを、値段より先に決めていたかどうかの差です。
落としていい費用と、落とすと企画が消える費用
ガチャガチャの中身も、同じように議論になりました。費用を抑える案として出たのが「ABCとかっていう紙を入れておいて」。出た記号を後から景品に引き換える仕組みです。
安く上がりますし、詰め替えの手間もかかりません。それでも、結論はこうなりました。
「ガチャガチャの体験って、そこが醍醐味だったりするじゃないですか」
ふたを開けた瞬間に、中身が姿を見せる。人が回すのはその瞬間のためです。中から紙が出てきたら、その手応えは残りません。落としてよい費用と、落とした途端に企画が成立しなくなる費用。この二つは分けて扱う必要があります。
筐体そのものは、借りる案も出ましたが買う方向でまとまりました。「借りるってなっても結局送料かかっちゃう、往復分とか考えたらカプセルも買える」。色については「絶対黒はやめた方がいい」「赤と白だね」「これがザガチャっぽい感じもありますよね」。見栄えを基準にすると黒が候補に上がりますが、黒い筐体はそれと分かってもらえません。遠くから見て何なのか伝わるほうを取る、という判断です。
まとめ
- 最初の発注数は正解を当てにいかず、小さく出して振り返る一巡で決める
- 質感や仕様は単体で判断せず、隣に置かれるものとの差で決める
- 落としてよい費用と、落とすと企画自体が成り立たない費用を分けて考える
D-thermoは、ラベルやノベルティを含む販促物の企画から制作までを一緒に進めている会社です。最初の数量や仕様で迷う場面では、試し方の設計からご相談を受けています。