チラシの反応がない時にデザインより先に見直す点
チラシの反応が出ないとき、最初に手を入れるべきなのはデザインではありません。誰に、どんな状況で渡しているか。ここが噛み合っていなければ、紙をきれいにしても数字は動きません。
とくに反応がゼロなら、それはデザインの問題ではないと決めてかかったほうが、話は早く進みます。
反応ゼロは、デザインの数字ではない
デリバリー商品に一緒に入れていたチラシについて、あるお店で話を聞いたときのことです。
「全然来ないの?」
「全然来ない」
「何パーセント?」
「ゼロっす」
本当にゼロでした。実物を見せてもらうと、紙そのものに変なところはありません。「中華屋さんの出前のみたいな」メニュー表に、店へ持ってくれば一品つくクーポン。どちらも定番の作りです。
この場面では、たいてい「デザインが弱いのかもしれない」という話になります。ただ、デザインが弱いだけなら、ふつうは数件は返ってきます。ゼロという数字は、届け方のどこかが根本から外れているサインです。
配る相手が、その日どんな状態にいるかを確認する
原因は、時間帯にありました。注文が集中するのは「9時とか8時とか」の夜です。
夜にデリバリーを頼む時点で、その人は今日はもう出かけないと決めています。残業明けで動く気力が残っていないのかもしれませんし、子どもを寝かせたあとで手が離せないのかもしれません。事情はさまざまでも、玄関から先に出る予定はない。そこへ「今度お店にいらしてください」と書いた紙を渡していたわけです。
来店する可能性がもっとも低い相手に、来店特典を手渡していた。紙の中身ではなく、相手と状況が合っていませんでした。
この種のずれは、チラシに限らず起きます。渡す相手までは決めているのに、その人がどんな時間に、どんな気分でそれを受け取るかまでは決めていない。配布の条件を紙の外側の要素として書き出しておくと、原因の見え方が変わります。
デザインより先に、訴求そのものを見直す
打ち手としては、チラシの目的を来店誘致から大量注文へ、まるごと置き換えました。向ける相手は法人や、一度に多く買う人です。判型はA5の両面で、片側に商品の訴求、もう片側に店舗の訴求を置きました。載せる情報を足したのではなく、目的を一つに絞り直しただけです。
夜に自宅で受け取った人が店まで足を運ぶのは難しくても、「これ、会社の集まりで頼めるな」と考えることはあります。配る相手も枚数も変えないまま、持ちかける中身を替えれば結果は動きます。
ゼロの状態でデザインだけを手直ししても、多くの場合は少し良くなって止まります。提案そのものを入れ替えたときに、はじめてゼロが動きます。
条件面も同時に整理しました。デリバリー経由だと「だいぶ35(%)持ってかれちゃう」。直接受注に切り替われば、その分は手元に残ります。だから「2割引きくらい下げてもいい」という判断になりました。ただし「10個からとかにしといたほうがいいね」という条件付きです。1個ずつ値引きで受けていては、手間だけが積み上がります。
反応が出ないときに、順番に確認すること
デザインに手を入れる前に、次を確認します。
- 誰に配っているか。その人はどんな状況でこの紙を受け取るか
- 受け取った人が、提案どおりに動ける状態にあるか
- 訴求はひとつに絞れているか。詰め込みすぎていないか
- 反応の有無を、数字で確認できているか
- ゼロなら、デザインではなく訴求と配布先を疑えているか
良し悪しを判定できる状態になっているか
この案件でもうひとつ大きかったのが、数字が誰にも見えていないことでした。
「サイトが4つあってブランドが4つあって」
「もうねぇぐっちゃぐちゃにあるんで」
どこから売れているのか、全体を押さえている人がいない状態です。
「数値管理ができてないと目標と絶対にできないからね」
このお店は、反応が出ていないと把握できていただけ恵まれていました。ゼロという事実があったから、理由をたどりにいけた。手元に数字がなければ、機能していないという状態そのものが見えません。
販促の相談を受けたとき、施策の中身より先に見るのはここです。結果を判定できる仕組みが用意されているかどうか。
数値管理は、続けられる方法で始める
とはいえ、店を回しながら数字を打ち込み続けるのは現実的ではありません。そこで出した案がこれでした。
「スクショ撮っとけばテキストデータ抜き取れるんで、それでAIでスプレッドシートで管理させれば一発で出てくる」
管理画面を開いて、画面を撮る。手を動かすのはそこまでです。あとは画像から数字を拾わせ、表の形に直してもらう。
数値管理という言葉には、専用の仕組みを導入する響きがあります。ただ、続かない仕組みは仕組みとして働きません。撮影一回で終わるなら、立て込んだ日でも手が止まりません。
紙一枚の相談として始まったこの案件は、最後には、届ける相手と、一度に扱う量と、通す経路の設計に行き着きました。直すべきものは、たいてい紙の外にあります。
まとめ
- 反応ゼロはデザインの数字ではなく、相手と状況が噛み合っていない合図
- デザインを触る前に、配る相手と訴求そのものを見直す
- 良し悪しを判定できる数字を、続けられる方法で先に用意する
D-thermoは、チラシをはじめとする販促物の企画から制作までを一緒に進めている会社です。反応が出ない原因を紙の外から順に整理するところから、ご相談を受けています。