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商品写真が安っぽく見える原因は面積と色にある

2026/09/27

【コラム】

商品写真が安っぽく見えるとき、原因は撮影の腕でも素材の質でもないことがほとんどです。効いているのは、写真の中で白が占める面積と、全体の色の配分でした。

値段の印象は、口に入るより先に目で決まります。中身をまったく変えなくても、上に載せるものと色を調整すれば見え方は動きます。

商品写真が安っぽく見える原因は、白い面積の広さ

ある飲食店の弁当の企画会議で、競合の商品写真をずらりと並べて眺めていたときのことです。出てきたのは、こんな一言でした。

「これ確かになんかご飯がまんま見えてると、ちょっと安い感というか出ちゃいますね」

白い米そのものが悪いわけではありません。おいしいという前提は、その場でも共有されていました。問題は、写真の中で白の占める割合が大きくなると、それだけで価格の印象が下に引っ張られることです。

だから次に出た指示が「白いご飯を隠してくれたらいいけどね」でした。隠すというのは、量を減らすことではありません。上に何を重ねるかという設計の話です。この場では「やっぱりお肉でインパクトを出したい」という方向に落ち着きました。

同じ商品でも、白がほとんど見えない状態と、半分近く見えている状態では、受け取る印象がまるく違います。撮り方を変える前に、まず載せ方を変える。そのほうが効き方も速く、費用もかかりません。

ヘルシーに見えるかどうかは、成分ではなく色で判断されている

色味を足す案として、キムチを載せる意見が出ました。彩りが加わるうえ、味の説明もしやすくなる。筋としては通っています。

ところが、この案には否定的な反応が返りました。

「ちょっとキムチキムチしすぎてて、ヘルシー感が少しだけないんだよね」
「キムチ嫌いなわけじゃないんだけどさ」
「見た目の話、色合いの話」

押さえておきたいのはここです。健康的かどうかを、人は成分表で判断していません。色で判断しています。赤が強く出ると、味を想像する前に「重そう」という印象が先に立ちます。

写真の議論は、放っておくと味の議論にすり替わります。「見た目の話」と言い切って線を引いておくと、判断がぶれません。

撮る前に確認しておきたいこと

盛り付けと撮影に入る前に、次の項目を見ておくと手戻りが減ります。

  • 写真全体で、白が占める面積はどのくらいか
  • 白を隠す役割の主役が、いちばん目立つ位置にあるか
  • 赤が強すぎて、重い印象になっていないか
  • 色数を増やしすぎていないか。彩りと散らかりは別物
  • 容器の色と、中身の色がぶつかっていないか

容器を変えるなら、価格改定と同じタイミングで動かす

見え方を上げようとすると、資材のコストが上がります。この会議で候補に挙がった容器は10個で1,360円、1個あたり136円でした。いま使っているものは「今は30円くらいなんですよ」。4倍以上の差です。

この差をどう吸収するか。結論は、容器だけを先に変えないことでした。価格改定と抱き合わせにして、同時に動かす。見た目を上げることと値段を上げることは、片方だけを進めるとどこかに無理が出ます。

容器を先に変えれば、上がった分をそのまま自社でかぶることになります。逆に値段だけを先に上げれば、見た目は前のままなので、買う側から見れば値上げの理由がありません。順番に片付ける話ではなく、同時に動かす話です。

名前とパッケージが変わるだけで、受け取られ方は変わる

会議でいちばん本質的だったのは、この発想でした。

「もう中身一緒でもいいんだよ、名前が変わっただけでもいい」

乱暴に聞こえますが、根拠がありました。実際に別名の既存商品を試しに取り寄せてみたところ「届いたら同じだったんですよ」。「パッケージが違うだけみたいな、値段も一緒」。

中身の等しい商品が、呼び名と装いを替えて別の棚に置かれている。抜け道の話ではなく、すでに市場で起きている事実の確認です。届け方の枠が変われば、受け取られ方も変わります。

安い商品は残し、上の価格帯を新しくつくる

着地したのは、価格帯を二つに分ける形でした。最も安い1,980円の弁当には手を付けず、その上に新しい帯をひとつ立てる。

値上げの相談では、いま扱っているものを一律に引き上げたくなります。ただ、それをやると今買ってくれている人の行き先がなくなります。下は下で残し、上を新しく建てる。そのうえで、上の価格帯にだけ白いごはんが見えない見た目を用意する。

こうしておくと、買う側には選ぶ余地が残ります。安いほうを選び続ける人もいれば、見た目に納得して上を選ぶ人も出てくる。値上げを納得してもらうというより、納得できる選択肢を並べるという考え方です。

価格は原価の合計で決まるように見えて、実際には見え方と呼び名のほうが先に相場観をつくっています。

まとめ

  • 商品写真の安っぽさは、味や撮影技術ではなく白い面積と色の配分で決まる
  • 容器や資材の見直しは、単体ではなく価格改定と同じタイミングで動かす
  • 既存の価格帯は残したまま、上の価格帯を新しくつくると選ばれ方が変わる

D-thermoは、商品写真やパッケージ、販促物の企画から制作までを一緒に考えている会社です。見え方と価格を同時に動かす場面では、こうした判断の順番を整理するところからご相談を受けています。