AI検索からの集客に、小さな事業者が備えておくこと
生成AIとのやり取りを経てたどり着くお客様は、すでに出はじめています。備えとして必要なのは新しい施策ではなく、何をやっている事業で、誰の役に立ち、どんな言葉で呼ばれているのかを、Web上の読める場所に文字で置いておくことです。順位で勝てない規模の事業者ほど、この変化の恩恵を受けます。
AI検索から来るお客様は、もう珍しくない
実際にあった話です。ある事業者さんで、Web経由の新規のお客様が3名。そのうち2名が、AI検索を通じて来ていました。
母数としては小さい数字です。ただ、割合で見ると無視できるものではありません。しかも、AI検索を狙って新しい施策を打った結果ではありませんでした。いつもどおり運用しているうちに、入口のほうが先に動いていた、という順序です。
数字が小さいうちは、見落としやすい変化でもあります。問い合わせのときに何で知ったかを聞いていなければ、そもそも気づけません。聞き取りの項目を一つ足しておくだけでも、状況は見えるようになります。
お客様は、自分が使った検索語を覚えていない
どんな言葉で調べたのかを本人に確認したところ、返ってきたのはこうでした。
「何だったっけなみたいな。洋服撮影? 服装? なんだったっけな、AIがお勧め出てきたんですよね」
明確なキーワードを打ち込んで探し当てたわけではありません。曖昧な言い方で相談し、提示された候補の中から選んでいます。
これまでの検索であれば、使った言葉を本人が思い出せました。AIとのやり取りを経由すると、その言葉自体が記憶に残りません。どこから来たのかを尋ねても分からない、という場面がこれから増えていきます。流入元をアクセス解析だけで追いかけるのも、少しずつ難しくなります。数字で分からない分、実際に来た人へ直接尋ねる価値のほうが上がっていきます。
通常の検索では、そのお店は上位に出てこなかった
確認のため、教わった言葉をそのまま検索窓にも入れてみました。その事業者さんのページは、上位には見当たりませんでした。
「多分いろいろ追加っていうか付け加えていって、多分ここに行き着いたのかな」
単発の検索語ではなく、条件を足しながら会話を重ねた先で到達している。従来の検索結果を占めている大手サービスとは、経路そのものが違います。順位を取らなければ見つけてもらえない、という前提が崩れはじめている、ということです。
やり取りの中で名前が挙がるかどうかは、検索結果の順位とは別の条件で決まります。少なくとも、広告費の大きさで先に押さえられてしまう場所ではありません。
入口が変わると、来る人の層も変わる
来られた3名の職種を見ると、2名がエンジニアで、1名がIT系の営業でした。
「やっぱりSEさんたちが来るんだよね」
「文系っぽくなかったもん」
「理論とかで言ったらちゃんと理解してくれる」
こちらから寄せにいった結果ではありません。新しい調べ方を早く取り入れている層が、そのぶん先に到達しているというだけです。この偏りは、しばらく続くと見ています。
来る人の層が変われば、伝え方の前提も変わります。感覚的な言い回しより、順を追った説明のほうが通じる相手が増える、ということでもあります。
AI検索に備えてWebに置いておく情報のチェックリスト
- 何をしている事業なのかが、一文で読める場所に書かれているか
- 誰に向けたサービスなのかが、対象を名指しで書かれているか
- 社内で使っている呼び方だけでなく、お客様が使う言い方も本文に入っているか
- お客様から実際に言われた言葉が、そのままの形で残っているか
- サービスの内容が、画像の中だけでなく文字として書かれているか
発信に載せる言葉は、お客様の言い方に寄せる
提供する側が使う名称と、訪れる人が自分の困りごとを説明する言い方は、たいてい一致しません。AIに相談する場面で、人は普段どおりの言葉を使います。整理された業界用語では話しません。
だとすれば、ページに載せる表現も、実際に来ている人の言い回しを残しておくほうが拾われやすくなります。こちらの呼び名を覚えてもらうより、相手の言い方に合わせるほうが早く届きます。難しいことをする必要はなく、問い合わせのメールや当日の会話に出てきた言い方を、そのままページの中に残しておけば十分です。
AI検索が来ても、やるべきことは増えない
AI検索が広がったから全部作り直し、という話ではありません。曖昧な相談から候補として拾われるには、事業の中身と、届けたい相手と、呼ばれ方の三つが、読める場所に書かれていることが前提になります。
やること自体は以前と変わりません。変わったのは、その情報を最初に読むのが人ではなくAIになった、という点だけです。逆に言えば、画像や動画の中にしか情報がない状態は、読まれないまま素通りされます。「AIに聞いて来ました」と言われる場面は、そう遠くないうちに珍しくなくなります。そのときに、自分たちの言葉が外に置いてあるかどうかで差がつきます。
まとめ
- Web経由の新規のうち、AI検索からたどり着くお客様はすでに出はじめている
- AI経由のお客様は検索語を覚えていないため、流入元は本人に聞いても分からない
- 備えとして必要なのは新しい施策ではなく、事業内容と対象と呼ばれ方を文字で置いておくこと
D-thermoは、中小規模の事業者のWebやSNSでの発信を、言葉の整理から制作まで手伝っている会社です。今ある情報が外から読める形になっているか気になるときは、現状を見るところからご相談いただけます。