SNS運用が属人化する原因と、止まらない体制のつくり方
SNSの更新が止まる原因は、たいてい担当者のやる気ではなく、運用の体制にあります。社内で投稿を触れる人が一人しかいない状態は、その人に何かあった瞬間に発信ごと止まる作りになっているからです。逆に言えば、人を責めなくても直せる問題でもあります。
SNS運用が属人化する会社に共通する形
更新が途切れているアカウントについて担当の方に確認すると、返ってくるのは「ちょっとバタバタしてて」という言葉です。手を抜いているわけではありません。むしろ責任感の強い人ほど、この状態になります。
ある会社さんとの打ち合わせでも、こんな話になりました。
「一人でやってるとなんかあった時とか代え利かなくなったりするじゃないですか」
体調を崩す、繁忙期が重なる、別の業務が急に降りてくる。どれも起きて当たり前のことで、避けようがありません。それなのに、止まった事実だけが「最近更新してないね」という形で個人に向かいます。見るべきなのは努力の量ではなく、代われる人がいない構造のほうです。
この構造が厄介なのは、うまく回っている間はまったく見えないことです。一人で完結できてしまうほど、周りは中身を知らないままになります。止まってから引き継ごうとしても、アカウントの権限も、投稿の型も、使っている画像の置き場所も、その人の頭の中にしか残っていません。
担当者を増やす提案は、研修の場として通す
担当者を増やす提案は、そのまま出すと社内で通りにくいものです。人を増やす=人件費が増える、という話に変換されてしまうからです。
そこで、目的の説明のほうを変えます。
「例えば新人の子とかでもいいんで入れて中のことを覚えてもらうというか、そういうことでもなんかこう研修チックにも使えるのかなと思うんで」
SNSの運用は、自社が何を売っていて、誰に届けたくて、どんな言葉で説明しているのかを一通りたどる作業です。入ったばかりの人が事業を把握する教材として、かなり実用的だと思います。手が足りないから増やすのではなく、覚えてもらう場として置く。同じ一人でも、決裁の通り方が変わります。
任せる範囲も、最初から重くする必要はありません。画像の書き出しや文章の下書きなど、手順が決まっている部分から渡していけば十分です。
実行と承認を分けると、誰かが抜けても止まらない
もう一つ押さえておきたいのが、投稿できる人を増やすことと、出す・出さないを決める人を増やすことは別だという点です。
「代わりに投稿できる人とかいれば、あと最終判断は責任者がゴーするみたいな形にしておけば回るかなと思うんで」
ひとまとめにして預けようとするから、結局どれも預けられなくなります。手を動かす担当は複数いてかまいません。公開の可否を決めるのは一人で十分です。この二つを最初から切り分けておけば、誰かが抜けても運用は続きます。
承認する側の負担も、決める範囲を絞れば軽くなります。毎回ゼロから見るのではなく、いつも通りの型の投稿はそのまま出し、金額や日付に触れるものだけ目を通す。そう決めておくと、責任者が忙しい週でも列が詰まりません。
属人化していないか確かめるチェックリスト
今の体制が一人に寄っていないかは、次の項目で確認できます。
- 担当者以外に、アカウントへログインできる人がいるか
- 投稿を作る人と、公開の可否を決める人が分かれているか
- 担当者が一週間休んでも、投稿を止めずに済むか
- 画像や文章の置き場所が、口頭以外の形で共有されているか
- 新しく入った人が、手順をたどって一本投稿できる状態か
一つでも引っかかるなら、担当者が元気なうちに手を打つほうが早く済みます。
一人体制は、運用のやり方を変えられなくなる
属人化のもう一つの副作用は、運用の形を更新できなくなることです。相談できる相手が社内にいないため、変更のすべてが危ない賭けに見えてしまいます。
たとえばリールへの切り替えを提案したとき、こういう質問をいただきました。
「リールって投稿すると、今画像でやってるところ、フィードには出てこないんですか」
お伝えしたのは「フィードには出てきますね」ということでした。プロフィール画面の左端にあるタブを押せば、これまでと同じようにまとめて表示されます。これまで並べてきた画面が失われるわけではありません。手が止まっていた理由は意欲の低下ではなく、確かめる相手がいないままの不安でした。
やり方を変えるときは、作業量を先に減らす
不安が解けたら、次は作業量を減らします。
「今画像も作ってあるんです。それをサムネイルみたいな形にして投稿すればいいだけかなと思うんで」
一から作り直す必要はなく、手元にある素材をそのまま流用します。切り替える時期も選べます。
「今8までいってるんで、次のシリーズはリールで投稿してもいいかもしれないですね」
期の途中で急に形式が変わると、担当者は今までのやり方を否定されたように受け取ります。シリーズの区切りでなら、変更ではなく次の企画として始められます。現場の感触としても「なんかやっぱり最近リールの方が伸びが良さそうな感じするんですよね」という声はあります。
まとめ
- SNSが止まる原因は担当者の意欲ではなく、代われる人がいない体制にある
- 増員は負担分散ではなく、新人が事業を覚える場として説明すると通りやすい
- 手を動かす人は複数、公開を決める人は一人。最初から分けておけば抜けても止まらない
D-thermoは、中小企業や店舗の販促を、SNSの運用設計から紙媒体の制作まで一緒に組み立てている会社です。今の体制のまま続けられるか気になるときは、現状を伺うところからお手伝いできます。